タイの二輪車(バイク)業界の見通し/後編

2019.02.15
  • 業界トピックス
  • タイ

本編は前編の続きです。

タイの二輪車(バイク)業界の見通し/前編はこちらから

 

3 タイにおけるオートバイの市場シェア

タイのオートバイ市場では、ホンダが優位を誇る。 2017年の二輪車新規登録台数においては、販売台数がほぼ100万台とホンダが78.3%のシェアを占める。これにヤマハ(14.8%)、GPX(1.7%)、スズキ(1.2%)、カワサキ(0.9%)が続く。

  • 興味深いことに、タイ唯一の国内ブランドであるGPXが2016年以降顕著に伸びて市場シェアのトップ3に入っている。海外の大手ブランドを超えるまでに要した期間はわずかに3年だった。GPXの主力製品は排気量200cc未満の小型・中型バイクである。価格競争力とタイ全土に販売店・サービス網を展開している点がGPXの成功のポイントだとみられている。また、ベネリ、トライアンフ、BMWなどの西欧ブランドもここ数年大きく成長している。
  • 大型バイク市場では、日本のブランド(ホンダ、カワサキ、ヤマハなど)が依然として確固たる地位を維持しており、 日本ブランドを併せた2017年のシェアは77%である。ブランド知名度が高いことに加え、日・タイ経済連携協定に基づく関税撤廃の恩恵で価格を抑えられる点も、欧米の競合に対する日本勢の優位な強みである。
  • しかし、日本の有名ブランドも、西欧ブランドによるタイ市場への新規参入がもたらす、し烈な競争環境に直面している。

4-1 輸出実績

  • 世界のオートバイ・部品輸出額のランキングでタイは7位である。 国際貿易センター(ITC)のデータベースによると、2016年のタイのオートバイ・部品輸出額が世界全体に占める割合は約6%だった。
  • かつてタイのオートバイの輸出は、CKD(現地組立車)に集中していた。2012年以降、主に海外の大型バイク製造会社がタイに生産拠点を置くようになったことで、CBU(完成車)の輸出が増加している。これにより、オートバイ輸出額は高成長を遂げた(2012年-2017年の平均成長率は13%)。
  • タイ自動車研究所(TAI)によると、2017年のタイのオートバイの輸出は、台数ベースでは85万台で前年比8%減に終わったが、金額ベースでは11%の伸びを見せた。理由は、CBU(完成車)の輸出が大きく拡大したことにある。2017年のCBU(完成車)の輸出台数は37万台で、前年度比23%増だった。
  • タイ商務省(4)の貿易データベースによると、2017年のタイのオートバイ(部品を含む)の総輸出額は約20億米ドルで、前年比22%の大幅増だった。そのうちCBU(完成車)の輸出は10億米ドルを超え、オートバイの輸出増加に最も大きく貢献した。

注: (4) タイ自動車研究所TAIと商業省MOCの輸出データは別々のソースを元とする。TAIの提供する輸出データは、タイ国のそれぞれのオートバイ製造企業から集められたデータであり、一方でMOCの輸出データはFOB価格を元に財務大蔵省関税局からのデータをまとめたものである 

4-2 輸出実績

タイのオートバイ・部品の主要輸出市場での主な実績

ASEANはタイにとって最大の輸出先であり、タイの輸出全体の33%を占める。これにEU(28%)、米国(14%)、日本(7%)が続く。

5 まとめ

  • 2017年、二輪車(バイク)業界はいくつかの好材料に恵まれて好調に推移した。商品価格および農業所得の改善が国内市場の需要を押し上げた一方、主要輸出先の景気回復が輸出販売への追い風になった。
  • 魅力的な投資優遇措置、整備の行き届いたインフラ、オートバイ部品の強力なサプライチェーンが整うタイは、世界大手企業の生産拠点となっている。
  • タイではオートバイの所有率が高く、現在市場は飽和状態にあるものの、スポーツタイプ・大型バイクへの嗜好の変化が起きていることで、国内および輸出市場に成長の余地が生まれている。2017年11月中旬に輸入関税が撤廃されたことで国内大型バイク需要にとってさらなる追い風になるだろう。同時に、このことが欧米ブランドとの競争激化を招く可能性もある。
  • タイのオートバイ輸出の今後の見通しは明るい。2017年、オートバイ輸出は主要輸出先の全てにおいて大きく拡大した。今後数年間にわたって、近隣諸国(カンボジア、ミャンマー、ラオスなど)から小型・中型のオートバイ需要が高まることが見込まれる。同時に、欧州、米国、中国の大型バイク市場も有望である。

 

 

執筆:YAMADA Consulting & Spire (Thailand) Co., Ltd.
   YC Capital Co., Ltd.

   (山田コンサルティンググループ株式会社 タイ現地法人)

 

 

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