タイのコングロマリット:BTSグループ/前編

2020.06.23
  • 経営トピックス
  • タイ

 

目次


  • 会社概要
  • BTSグループ事業内容

大量輸送事業
メディア
不動産
サービス

  • まとめ 

 

レポートデータは本レポート後編の末尾よりダウンロードいただけます。

 

 

会社概要

 

BTS Group Holdings PCL (BTSグループ)について
  • BTSグループは1968年に Tanayong (タナヨン)という社名で不動産開発会社として事業を開始し、1991年にタイ証券取引所(SET)に上場した。
  • 1992年にバンコク初の大量高速輸送システム[1]BTSスカイトレインの30年コンセッション(設計・構築・運営を行う権利)契約を落札したことが事業上の大きな転機となった。 スカイトレインは1999年に商業運行が開始され、以降BTSグループの主要事業となっている。
  • 主にM&Aや合弁事業を通じて関連事業を拡大してきた。
  • 現在BTSグループの主要事業は大量輸送、メディア、不動産、サービスの4つで構成される。タイ大量輸送部門でトップの民間企業の1つとして認知されており2018年度(2019年3月期)の総収入は490.6億バーツ、総資産は約1,443.2億バーツだった。

 

 

BTSグループの事業内容

 

近年の実績
  • BTSグループの収入は、主に大量輸送事業とメディア事業の積極的な拡大で、過去数年にわたって着実に増加している。

2016年-2017年:    BTSコアルートの延伸路線のコンセッション契約による電気機械(E&M)システムと列車調達・販売が収入拡大に大きく貢献した。広告やデジタルサービスを含むメディア事業も、M&Aを除く内部成長とM&Aの両方で全体の成長を支えた

2018年:    新路線(ピンクライン・イエローライン)のコンセッション契約による建設収入307億バーツの計上により収入が急激に拡大した

 

 

大量輸送事業

主要企業


  • BTSグループの大量輸送事業は、主に子会社(過半数所有)のバンコク・マス・トランジット・システム株式会社(BTSC)、合弁会社2社、ノーザン・バンコク・モノレール株式会社、イースタン・バンコク・モノレール株式会社を通じて行われている。
  • BTSCは1992年に国内初の大量輸送システムであるBTSスカイトレインのコンセッション(設計・構築・運営を行う権利)契約を落札し、これを契機に大量輸送事業を開始した。 スカイトレイン は1999年に路線距離23.5 kmで運行を開始した。
  • 2013年、BTSCはBTSコアネットワークの将来の正味運賃収入を、BTSレール・マス・トランジット・グロース・インフラストラクチャ―・ファンド(BTSGIF)に売却したが、コアネットワークの運営権は維持した。BTSグループは、BTSGIFの最大株主として33.3%の持分を保有している。従ってBTSCは、BTSGIFから運営・保守サービス収入を受け取り、BTSグループはBTSGIFから持分比率に応じた純利益を受け取る。
  • 2017年にはSino-Thai Engineering & Construction PCL(STEC)とRatchaburi Electricity Generating Holding PCL(RATCH)との合弁会社であるノーザン・バンコク・モノレールとイースタン・バンコク・モノレールが、2つのモノレールネットワークの建設および33年3ヵ月間の運営を行うコンセッション契約を落札した。

 

 

主な収入源


  • BTSグループの大量輸送事業の主な収入源は、1. O&Mサービス料、2. 利息収入、3. BTSGIFの持株比率に応じた純利益、4. 建設・E&Mの設置・列車の調達の4つに大別される。
  1. O&Mサービス料:    大量輸送システムの運営・保守サービスからの収入は、乗客数の増加と路線延伸により2014年から2018年にかけて年平均成長率11%で着実に成長している。さらに2021年にピンクラインおよびイエローラインの運行が新たに開始されるため、今後も増加する見込みである。
  2. 利息収入:    利息収入は BMA(バンコク首都庁)との路線延伸に関わる電気・機械(E&M)システムの購入・設置契約に基づくもので、過去2年間で増加している。
  3. BTSGIFからの純利益分配:    BTSグループはBTSコアネットワークの将来の正味運賃収入を受け取る権利を2013年にBTSGIFに売却した。それ以降、BTSグループはファンドの株主としてBTSGIFから持株比率に応じた純利益を受けている。
  4. 建設・E&Mの設置・列車の調達:    2018年に受注済み2件の新規大量輸送ネットワーク建設プロジェクトの収入を計上したため、同年の収入が大幅増となった。

 

 

競合他社比較


  • BTSグループは、バンコクの公共交通機関の他の運営会社と比較して、乗客数および運賃収入で最大の市場シェアを誇る。
  • 2019年12月現在、Bangkok Expressway and Metro(BEM)、State Railway of Thailand(SRT)、BTSグループ3社が、合計約153 km (110駅)におよぶ交通システムを運行している。
  • 2019年12月現在、BEMはブルーラインとパープルラインの70km(54駅)、BTSグループはダークグリーンラインとライトグリーンラインの53.9km(48駅)を運行している。パヤタイからスワンナプーム空港までの28.5 km(8駅)を結ぶエアポートレールリンク(ARL)は当初SRT が運営していたが、2019年10月にタイ最大手のコングロマリットCPが3つの空港を結ぶ高速鉄道建設の入札プロジェクトを落札した後、CPが率いるコンソーシアムのCPHに引き渡された。
  • BTSグループが運営するダークグリーンラインとライトグリーンラインは、現在最も利用者が多く2018年の乗客数は2億4,100万人だった。対するBEMの乗客数は1億1,370万人であった。

 

 

今後の計画ルート


 

 

他のインフラ開発への多角化


  • BTSグループは大量輸送路線以外に、ウタパオ国際空港の拡張や都市間高速道路建設(2件)など他のインフラプロジェクトへも進出している。パートナー企業と共同で最高額の政府分配金を提示し、これら3つのプロジェクトを全て落札した。

 

 

メディア事業

主要企業


  • BTSグループは、主にVGI Global Media PCL (VGI)およびその子会社を通じてメディア事業を行っている。
  • VGIは、1999年にBTSスカイトレイン全ての駅の広告および商業スペースを管理する30年間の独占権を獲得したことをきっかけに、メディアレンタルサービスを提供する会社として事業を開始した。
  • 大量輸送システムのメディア事業で成功した後は、株式の買収や合弁を通じて事業を大幅に拡大してきた。

2009年: Point of View Media Groupの株式を取得し、オフィスビル広告事業に進出
2016年: 複数の会社の株を取得し、路上や空港などの広告事業に進出
2018年: ケリーエクスプレス(タイ)の株を買収し、物流事業に参入

  • 戦略的提携、合弁事業、国内外のパートナー企業の株式買収を通じてVGIは、ビジネスモデルを従来型の屋外(OOH)メディアから転換し、現在ではオフラインからオンラインにいたるあらゆるサービスをワンストップで提供できる。

 

 

(後編へ続く)

 

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