タイのガラス製容器業界の見通し

2019.02.22
  • 業界トピックス
  • タイ

1. 容器・包装業界の概況と傾向

タイの容器・包装業界の概況

  • タイの容器・包装製品の業界では、紙製品とプラスチック製品がシェアの多くを占める。
  • 紙製のパッケージは、食品・飲料業界の拡大と急速なe-コマース市場成長の追い風を受け成長してきた。
  • 飲料類の容器・包装はプラスチック製品が増加を続けている。従来のガラス製や金属製のものに比べ原料コストが低く、機能面での利便性が理由である。
  • ガラス製品がプラスチック製品に置きかえられる傾向にある中、ガラスの持つ特性(不浸透性、化学反応耐性、高級感など)から、アルコール飲料や医薬品、化学製品など一定の業界では競争優位性を維持している。

タイの容器・包装業界の傾向

近年、人々の所得の増加やライフスタイルの変化など、様々な要因を追い風に、容器・包装製品の需要は増加してきた。

  • ますます多忙となった現代人の生活スタイルは、容器入りの即席食品類の需要を押し上げている。食品と飲料の容器・包装は、開封や再封が簡単にでき、持ち運びに便利という消費者への利便性ニーズへの対応で成長してきた。
  • 世帯の少人数化や単身世帯の増加によって、より少量の商品が消費者に好まれるようになり、小分け可能なパッケージや個別包装などの需要を押し上げた。
  • タイの人口構造が高齢化へと向かうことで、より軽量で、開封が容易であり、説明書きが見やすい大きな字で書かれている容器・包装製品の需要が増加するであろう。

2. ガラス製容器業界の業容

タイのガラス製容器業界

タイはASEANにおいてガラス製容器製造量が最も多く、一日の製造能力は8,000トン以上、年間250万トン以上の設備容量を持つ。ガラス製容器製造業全体の市場規模は約300-400億バーツ(1)と推定される。

  • タイのガラス製容器市場は、アルコール飲料、栄養ドリンク、炭酸飲料など、ガラスびん容器を製品に使用する飲料メーカーの業況に大きく影響される。
  • ガラス製容器製造企業が利益を確保するためには、多額の投資と継続的な製品ニーズが必要であることからその参入障壁は高い。 従って、タイにはガラス製容器製造企業は数社しか存在せず、その多くは大手飲料メーカーの関連会社である。
  • 大手アルコール飲料と栄養ドリンク企業は、自社でガラスびん製造会社を保有することにより、十分な容器供給体制と価格競争力を維持している。
  • 2000年代後半から2012年までのガラス製容器市場の成長率は、約12-13%であったが、2013年以降は製造量・販売ともに減少に転じている(2)。これは飲料製品の中に、容器をガラス製からペットボトルなどプラスチック製に変更する動きがみられたることによる。
  • 特に、ペプシコ社が2013年から同社製品の容器を、ガラスびんから、徐々にペットボトルとアルミ缶へと置き換えていったことが大きな要因のひとつと考えられる。
  • 一方、2016年以降は、ガラス製容器の製造・販売量ともに増加に転じている。これは、ここ数年のタイおよび近隣国での栄養ドリンクとビール市場拡大に伴うガラスびん需要の増加によるものである。これに合わせて、ガラス製容器メーカーは順次製造能力拡大投資を進めている。
  • タイで製造されるガラス製容器はほとんどが国内向けで、輸出向けはガラス製容器メーカー総売上の2-3%のみである(工業省工業経済局(OIE)産業サーベイ調べ)。
  • 栄養ドリンクとアルコール飲料用のガラスびんの需要の増加は、近隣諸国の供給能力不足と相まって、タイのガラス製容器輸出量をさらに増加させている。
  • タイのガラス製容器輸出量は、ASEAN市場、特にCLMVと呼ばれるカンボジア・ラオス・ミャンマー・ベトナムに大きく依存しており、2017年は、総輸出量の77%がASEAN向けで、中でもCLMVの4カ国で総輸出量の半分以上を占めた。

3. タイの代表的なガラス製容器製造企業 5社

4. まとめ

タイのガラス容器業界は、ここ1~2年のガラス製容器製造能力の拡大投資と、ガラス以外の素材の利用増により、競争が激化している。使用用途によってはガラス容器からプラスチック容器への置き換えが進んでいるものの、最近のタイ及び近隣諸国での栄養ドリンクとビール市場の拡大により、ガラス製容器には一定の安定した需要増が見込まれる。

別途各ガラス容器製造会社経営陣へのヒアリング結果によれば、ガラス容器製造業の競争力を維持するためには、上記製造能力の拡大に加え、以下のような戦略を検討・推進する必要がある。

  • コスト競争力を維持し省エネを目指す技術の採用
  • ガラス以外の素材の容器・包装に対抗できる、軽量ガラス容器の開発
  • 建築資材など、ガラスを使った他の製品への応用展開
  • 輸出市場への注力による顧客基盤の拡大

ガラスの優位特性やASEAN市場での需要の増加により、タイでは今後も更なるビジネスチャンスが広がるだろう。一方、タイのガラス容器業界に投資をする場合には、飲料製造企業とより強固な関係性を結び、事業が維持するに十分な需要を確保することが重要である。

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注:(1) 「BGC社」幹部への複数のニュース媒体の取材より

  (2) BGC社(Commercial Group傘下)上級副社長Supasin Leelarit氏への取材より(2017年6月15日発行「The Nations」に掲載)

 

 

 

執筆:YAMADA Consulting & Spire (Thailand) Co., Ltd.
   YC Capital Co., Ltd.

   (山田コンサルティンググループ株式会社 タイ現地法人)

 

 

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