中国健康食品業界の見通し/前編

2019.03.12
  • 業界トピックス
  • 中国(Greater China)

健康食品業界の概況

■健康食品業界のサマリー

  • 市場規模は、2016年約4,200億元(71,400億円、17/元で換算。以下、同様)で、年率10%以上で拡大しており、輸入品は少ない。
  • 製品の主な輸入相手国は、アメリカ、オーストラリア、ドイツ、日本などである。
  • 健康食品の購買要因は効能や品質が挙げられ、口コミやSNSなどの影響が大きい。
  • 中国で健康食品として効能や栄養素を表示して販売するには、CFDAの認可が必要となり、最低でも数百万円の検査費と3ヵ月以上の審査期間が必要である。
  • 輸入については、製品93億元(約1,581億円)、原材料等を含めると192億元(約3,264億円)となっており、輸入品の構成比は小さい。

 

 

■健康食品業界の分類と定義

<政策・規制>

中国の健康食品は、CFDA(中国国家食品薬品監督管理局)の認可のある「保健食品」と「普通健康食品」に大別される。「保健食品」は、「機能性保健食品」と「栄養補助剤」に分けられ、それぞれパッケージに「保健食品」マークと機能成分や効能を記載することができる。ただし認可を得るには、3ヵ月以上の審査期間と、各種検査費に数百万円が必要となる。

 

 

■保健食品の許認可取得手続き

  • 保健食品のパッケージ上効果の表示は、保健食品の届出・登録が必須である。
  • 保健食品の許認可を得るまでに数年の期間を要することも珍しくない上、各種検査費用が数百万円に上り、許認可を取得するのに5 年程度以上かかった日系企業もあるといわれ、ややハードルが高い。

 

■CFDAの許認可数と主要原材料

輸入保健食品の認可数は毎年20件以下に留まる

 健康食品市場の拡大に伴い、各社は新製品開発に力を入れており、2017年の保健食品の認可件数は881件である。直近5年間の平均で見ると、934件となる。毎年1,000件近い保健食品が誕生していることから、保健食品の製品ラインナップの新陳代謝は高いことが伺える。また、輸入製品の認可件数は、近年では20件以下に留まっており、国内生産の製品が大半を占めている。 

アメリカ人参は原材料としての使用率が最も高い

認可を受けている保健食品の原材料についてみると、アメリカ人参(中国名:西洋参)の使用認可件数が21.5%と特に多く、プロポリス(中国名:蜂膠)11.0%がこれに次いでいる。これらの原材料の効能は、免疫力向上であることから、消費者の期待が高い効能に合わせた製品を開発した結果であると考えられる。

 

■事業構造の把握とKSF

  • 中国消費者が保健食品の購入で最も重視するポイントはブランドと安全性である。
  • 中国消費者は従来から保健食品に対する誤解が深いため、偽物、膨大宣伝などのイメージを払拭することによりブランドイメージ向上は成功の鍵となる。

 

■健康食品の商流

  • 健康食品全体の85%は国産で、輸入品は15%に過ぎない。
  • 販売経路としてスーパーは25%を占めており、ネットショップ、ドラッグストアと薬局はの販売量はそれぞれ18%14%14%である

健康食品の市場動向

■中国国内の市場環境

都市部一人あたり可処分所得の増加と高齢人口の増加が後押しとなる

  • 高齢人口(65歳以上)は2010年比で1.3倍の15,831万人となり、人口全体に占めるシェアは2010年の8.9%から2015年の11.4%へと増加した。高齢者はほかの年齢層より心臓血管病、高血圧、糖尿病などの患者が多いため、保健食品への需要が高い。
  • 全国都市部の一人あたりの可処分所得は2017 年時点で36,396元(約62万円)となり、特に上海、北京、浙江省の都市部一人たり可処分所得は5万元を超えている。
  • 各国における一人当たりの年間保健食品の消費金額を比較すると、中国は18ドル(2013年)で最も低い。日本とアメリカはそれぞれ中国の56倍であり、所得の増加を考えるとまだ拡大の余地があるとみる。

 

■中国健康食品企業の動向

健康食品関連企業は沿岸地域に集中する傾向あり、輸入品の構成比は小さい

  • 2015年末に従事する企業数は2,440社、製品数16,229件(輸入製品746件を含む)である。企業は、北京市、広東省、浙江省、上海市、山東省、江蘇省の6省・直轄市に8割以上が集積している。
  • 保健食品の購入者は沿海地域に集中しており、特に長江デルタ一帯の売上は全体の25%を占めている。
  • 効能別商品比率から見ると、CFDAに登録済みの国産と輸入食品の効能の比率が大きく異なり、国産保健食品には免疫力向上類商品の比率が18.7%と最も高いのに対し、輸入保健食品には高脂血症改善の商品が最も大きなシェアを占めている。

 

 

■中国人の健康状況

75%の中国人は半健康状態にあるため、免疫力改善が最も重視されている効能である

  • 中国の健康食品の効能はCFDA(国家食品薬品監督管理総局)が定める27種に分類されるが、最も重視されているのは、免疫力改善である。年代が上がるにつれて重視する割合が高まり、全体でも51.7%と高い比率になっている。次に重視されている効能は、疲労感軽減で、こちらは若年層(1835歳)ほど重視する割合が高い。
  • 重視される効能の傾向は、都市の規模・発達(1級都市、2級都市、3級都市)、性別などによっても異なり、免疫力改善や疲労感軽減は1級都市の方が重視され、疲労感軽減は女性よりも男性の方が重視される傾向にある。
  • WHOの2016年の中国人の健康状況に関する調査によると、75%の中国人は「半健康」 ※状態にあり、中国人の健康状況は無視できない厳しい状態にあることが明らかになった。
  • また、同調査によると、「半健康」 状態にある患者の年齢層はほぼ18歳~45歳の間であり、70%のホワイトカラーと85%の管理職の人は半健康にあり、健康食品の需要層となりやすい。

 

 

■主要プレーヤー

  • 中国市場で上位5社は約34%の市場シェアを占めており、全体的には市場は分散化状態である。
  • 外資系では、アムウェイ(アメリカ)、パーフェクト(マレーシア)、ハーバライフ(アメリカ)などがある。中国系では、無限極(Infinitus)、 東阿阿膠(DEEJ、深セン上場)やオーストラリアのスイスウェルネスを買収した合生元(Biostime)、多ブランド展開をする湯臣倍健 (By-health、深セン上場)などが有力である。

 

 

(後編へ続く)

中国健康食品業界の見通し/後編はこちらから

 

 

 

執筆:上海現地法人 山田商務諮詢(上海)有限公司

         (山田コンサルティンググループ株式会社 中国現地法人)

 

  • 海外事業コンサルティングサービス内容
  • セミナー情報