中国における日本酒業界の現状と
日本企業のビジネスチャンス/後編

2019.06.14
  • 業界トピックス
  • 中国(Greater China)

本編は前編の続きです。

中国における日本酒業界の現状と日本企業のビジネスチャンス/前編はこちらから

 

消費トレンド

 

男女別・世代別から見る酒類の消費特性
日本酒・焼酎の消費者は女性が過半数を占め、24~39歳(80後~95後)が主力消費層

酒の消費には男女と世代別には大きな違いがあり、 阿里媽媽発表の「2018零食&酒水業界消費趋勢解密」によると、下記の特徴が読み取れる。

  • 左図から見ると、梅酒、ラム酒、リキュール、日本酒・焼酎、カクテル及び果実酒においては女性消費者が過半数を占めている。
  • 右図の世代別の消費特性を見ると、 24歳~39歳(80後~95後)は日本酒・焼酎の主要消費層である。

  
 

 

都市別から見る酒類の消費特性
5、6線都市の酒類消費のシェアが高く、成長率も顕著

 

2018年の京東BD&研究院発表の「酒類オンライン消費ビッグデータ研究報告書」によると、5、6線の都市が市場全体の50%以上を占め、1、2線以外の都市では前年比約60%以上の成長を実現した。

  • 3線以下都市住民の一人当たりの可処分所得の増加により、人々の酒の品質に対する要求も高まっており、従来チャ ネルでは種類が少なく、価格も高いため、オンラインは徐々に重要な購入チャネルとなる。
  • オンライン消費の増加は外資ブランドに様々な可能性をもたらしている。1、2線都市では日本食レストランやBtoB専門の酒類専門プラットフォーム、3線都市以下ではBtoCの総合ECサイトに注力することが一つの戦略になる。
     

日本企業の進出動向

日本の日本酒・焼酎企業は1990年代後半から2000年代前半にかけて中国に進出

  • 日本国内市場の日本酒・焼酎市場の需要減少により、日本酒・焼酎企業は1990年代後半から2000年代前半にかけて集中的に進出してきたが、その後現地パートナーとうまく協働できず、撤退した会社も存在している。
  • 進出当時は日本食レストラン向けの輸出や在中国邦人の飲食向けがメインだったが、中国人需要の増加により、経営戦略の見直しをせまられる企業が増えてくると想定される。
     

日本資本の中国参入事例「中谷酒造有限公司」

  • 天津中谷酒造有限公司は日本の中谷酒造株式会社の100%関連会社として1995年1月に設立された独資企業である。
  • 天津に純米吟醸酒という高級清酒を専門に作る工場を設立し、大連、北京、上海、広州など主要都市に営業拠点を構え、数千店もの日本料理店と取引を行っている。

中国企業の成功事例

 

成功事例1「重慶江小白酒業有限公司」
お酒を売るだけではなく、重慶高粮酒の文化醸成を目指す「江小白」
中国白酒業界の若手ブランドとして創業6年未満で売上高20億元を達成

  • 重慶江小白酒業有限公司は高粱栽培、醸造蒸留、酒類生産、ブランド管理、市場販売、現代物流及び電子取引を一体化とした、フルサプライチェーンを有する総合型酒類企業である。
  • 中国白酒市場の激しい競争を勝ち抜き、白酒業界において独自のビジネスモデルを確立した。
  • 江小白は製品のポジショニング、デザイン、ブランド構築、販売チャネルなど様々な方面で自社独自の経営モデルを確立し、2013年の中国政府の「三公消費」に対する制限令により苦戦していた白酒市場のダークホースとして消費者の視野に入った。
  • ブランド構築において、明確なポジショニング、斬新なコンテンツマーケティング戦略でターゲット層に刺さった。
  • 販売チャネルにおいて、二、三次代理店をほぼ利用せず、重慶、成都の火鍋文化に合わせた直接飲食店へのアプローチを重視し、白酒の販売と補完できるビール大手の雪花ビールの販売ルートも活用した。

 

成功事例2「江蘇洋河酒厂股份有限公司」
「綿柔型」白酒を開発したリーディングカンパニーとして注目
白酒業界をリードしO2O戦略を活用

  • 蘇洋河酒厂股份有限公司は中国白酒業界初の「綿柔型」白酒を開発したリーディングカンパニーとして、スーパーハイエンドからローエンドの製品まで幅広い商品を提供している。
  • 明確なポジショニング、斬新なデザイン、高いブランド力及びあらゆる販売チャネルへの注力などにより、洋河股份の業績はCAGR9.9%(2013~2018年)で成長している。

 

おわりに

  • 中国1人当たりの可処分所得の増加や訪日観光客の牽引により、日本食レストランの人気は高まり、今後中国における日本酒と焼酎に対する需要は更に期待できるだろう。
  • 1、2線都市の消費が主力であったが、3線以下の都市が徐々に重要消費市場に変わってきたため、3線以下の都市も日本酒・焼酎販売の有望市場とみられる。一方で、日本酒と焼酎の中国の内陸部における知名度はまだ低く、中国に販路拡大させるにはしっかりしたPR戦略、現地化された商品開発、現地パートナー選定などが必要である。
  • 女性と若者消費者の増加により、商品パッケージに対するデザイン性、個性への要求が高くなっているおり、従来よりデザインや品質にこだわっている日本のブランドにプラスの判断材料である。
  • 日本酒類企業が中国での販路拡大を図る上で、マーケティング戦略から販売チャネルなど中国企業の成功事例から学ぶことも多い。

 

 

 

執筆:上海現地法人 山田商務諮詢(上海)有限公司

         (山田コンサルティンググループ株式会社 中国現地法人)

 

 

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