中国冷凍食品業界の見通し/後編

2019.03.01
  • 業界トピックス
  • 中国(Greater China)


本編は前編の続きです。
中国冷凍食品業界の見通し/前編はこちらから

 

 

競争環境

大手4社でシェア7割、商品の差別化が図られていない
販売チャネルは卸売が6割を超える

  • 中国の冷凍食品のプレイヤーを見ると、大手メーカーの三全、思念、湾仔碼頭、安井食品の4社で7割のシェアを占めている。既存製品群での新規参入は厳しい状態ではあるが、いずれも伝統的な餃子、甘団子などの製品がメインで、商品の差別化はあまり図られていない。
  • 中国の大手企業の販売チャネルから見ると、伝統的な卸売が圧倒的に主要な販路となっている。近年スーパーでの販売コストの高騰により、飲食店やホテル向けの販路拡大が各社の重要な営業方針になっている。 大手企業の販路は卸売:スーパー:飲食店=6:3:1で、直接飲食店向けの割合はまだ小さい。

競合-他社事例(三全食品)1/3

国内シェア28%前後、冷凍食品生産販売業者として最大手。

 

競合-他社事例(三全食品)2/3

ニーズの多様化に応じる新製品の開発が成功の鍵になる

  • 消費者の多様化するニーズに応じて、近年三全は健康と栄養に配慮した新商品を積極的に開発し、新商品を矢継早に発売している。
  • 従来の低価格の水餃子だけではなく、拡大する中間所得層と富裕層に向けて、餃子の具に高級材料を使った製品を高価格で販売し始めている。
  • 以前なかった中式のパンケーキや果物の具が入っている団子などの発売により、三全の商品に対するイノベーションが伺える。

競合-他社事例(三全食品)2/3

幅広い年齢層に対応した製品の開発と地域別のプロモーションが三全の強み

外資企業の進出事例<General Mills>

Wanchai Ferryを通じて中国市場に進出

Wanchai Ferry(湾仔碼頭)はハイエンドの冷凍食品を販売するブランドと位置づけられ、マーケットシェア17%前後で、冷凍食品業界第3位のビッグプレイヤーである。同社は「母の味」を訴求点として、従来から高品質な製品展開に注力し、他社製品よりやや高い価格帯で販売している。
 

業界の問題点と今後の見通し

問題点

  • 右図に示すように、中国の冷凍冷蔵倉庫の4割は華東地域に集中し、内陸部の冷凍インフラはまだ整備されていない。
  • 川上である生鮮農産品の生産地域が非常に分散化しているため、物流のコストが極めて高い。
  • 一方、冷凍と貯蔵施設の遅れで輸送時の損耗率がかなり高いため、中国冷凍食品業界の大きな問題点となっている。  


今後の見通し

  • 近年技術の進歩とコールドチェーンの発展により、輸送時の損耗率に改善の兆しが見え始める。業務用冷凍庫保有量も今後更に増加する見通し。
  • 中国の消費者の多くは健康的で安全性の高い食品を選好しており、健康消費は将来の主要消費テーマとなるだろう。
  • 出前は冷凍食品の強力な競争相手ではあるが、今後人件費コストの上昇で低温処理で無添加の冷凍食品が出前より選好されやすいとみる。
  • 飲食店やホテルなど業務用向けの販路拡大は今後の大手冷凍食品メーカー競争の重点領域となろう。

日本企業のビジネスチャンス
 

  • 中間所得層の台頭や富裕層の増加による健康志向の高まり、内陸部中間層の増加や中国政府の冷凍食品に関する政策の整備などにより、高品質な日本産冷凍食品の需要拡大が見込まれる。
     
  • 現在B2B(業務用)向けの市場は大きくないが、今後人件費コストの上昇と消費者の利便性に対する欲求の高まりでファストフードチェーン店や火鍋チェーン店での冷凍食品の消費量拡大が見込まれ、これらの業態チェーンへのアクセスによるB2B経由での参入が有効であると考える。
  • コールドチェーンの発達の遅れから、冷凍食品のEC販売浸透率は現状高くないが、近年急速にコールドチェーンの整備が進むことから、もしB2Cで参入する場合、盒馬鮮生や京東生鮮など冷凍冷蔵の大手ECとアライアンスを組むのも一つの有望な選択肢とみる。



業界マップ

 

執筆:上海現地法人 山田商務諮詢(上海)有限公司

         (山田コンサルティンググループ株式会社 中国現地法人)

 

 

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