タイの二輪車(バイク)業界の見通し/前編

2019.02.15
  • 業界トピックス
  • タイ

1-1 バイク業界の概要

  • タイは、世界有数のオートバイの生産地として知られ、世界大手企業(ホンダ、ヤマハ、スズキ、カワサキなど)が製造拠点を置いている。  
  • 現在、タイ国内には10社のオートバイ製造会社があり、タイ全体での年間生産能力は300万台を超えている。
  • オートバイの製造は「CBU(完成車)」と「CKD(現地組立車)」に分類される。完成車が全生産の70%以上を占め、主に国内で販売されるのに対し、現地組立車の生産は輸出向けのみであり全体に占める割合は小さい。

  • 2012年に、タイのオートバイ生産台数は300万台を超えた。主な理由は、洪水被害に遭ったオートバイの買換えによる国内の需要の高まりである。 しかし、その後2013年-2015年には、景気後退、農作物価格の下落、コメ担保融資制度に基づく農家への支払遅延による家計債務の上昇が国内のオートバイ販売に影響して、完成車の生産台数を押し下げた。
  • 2016年以降タイのバイク業界は復活の兆しを見せている。国内市場の回復により、2017年には、生産台数は250万台に達した(前年比4%増)。

1-2 バイク業界の概要

  • 製品のタイプ別に生産台数をみると、ファミリータイプは2012年から2016年にかけて200万台超から140万台へと大きく落ち込んだ。
  • 一方、同期間中スポーツタイプは2桁の伸び率を示している。スポーツタイプや大型バイクの人気の高まり、および二輪産業の競争力強化を目的とする政府の投資優遇措置が、スポーツタイプの生産台数増加の要因となった。

  • 2007年に導入された、大型バイク製造業を対象とする高額の投資優遇措置は、世界大手のオートバイ製造会社を惹きつけてタイ市場への参入をもたらし、国内外両市場に向けたオートバイの生産台数の継続的な拡大に寄与している。
  • BOI(タイ投資委員会)発表のデータによると、大型バイクの生産台数は、2010年から2016年に年平均成長率28%と大きな伸びを見せた。ハーレーダビッドソンの新規投資と生産能力拡大が今後の大型バイクの生産台数拡大をけん引する見通しである。

1-3 バイク業界の概要

最近の大型バイク製造に対する支援政策と投資優遇政策

 

タイ政府は二輪車産業を継続的に支援しており、タイ投資委員会(BOI)は、自動車製造業に対するものと同様の投資奨励策を、オートバイ製造業にも実施している。

  • 2007年、排気量500cc以上のオートバイ製造に対し最長8年間の法人所得税を免除する措置がとられた。
  • 2012年、この条件が修正され、排気量248cc以上のオートバイ製造も含まれるようになった。
  • 2017年第1四半期になって、タイ投資委員会(BOI)は、経済特区の東部経済回廊(EEC)(1)における促進ターゲット産業の1つとして排気量500cc以上のオートバイ製造を指定した。EEC内の排気量500cc以上のオートバイ組立業者への投資に対しては、法人所得税が最長5年間免除され、さらにその後5年間は半額免除される。

注: (1) EECとはタイ東海岸地域は、3つの県、ラヨーン県、チョンブリー県、チャチューンサオ県を指す 

 

2-1 国内市場実績

  • タイのオートバイ製造業は国内市場への依存度が高い。2009年以降、タイの全オートバイ製造会社の総販売台数の60%以上を国内販売が占める。工業省所管のタイ自動車研究所(TAI)によると、2017年の国内販売台数の合計は約180万台で、全メーカーの総販売台数の68%を占めた。一方、輸出が占める割合は32%だった。

  • 運輸省陸上輸送局 (DLT)発表の、二輪車登録台数(累計)(2)のデータによると、タイにおけるオートバイ市場の規模は東北部が最も大きく、これに北部、バンコク首都圏、南部が続く。
  • 2013年-2015年は、農業所得の下落と深刻な干ばつが内陸部のオートバイ市場に大きな打撃を与えた。東北部と北部のオートバイの販売は、コメ担保融資制度の支払遅延による家計債務悪化の影響を受けた。一方、南部ではゴムの価格暴落の影響を受けた。

注: (2) 運輸省陸上輸送局発行の新規登録台数のデータは、実際の国内販売台数(国内組立車と輸入を含む)を表す。他方、タイ自動車研究所の国内販売台数のデータは、国内製造会社による国内販売台数を表すが、両者の数値にほとんど差異はない 

 

2-2 国内市場実績

  • 2016年以降、国内市場は復活の兆しを見せている。加えて2017年には、オートバイの国内販売台数は4%増加した。これは農作物価格の改善によって内陸部の購買力が向上したことに起因する。
  • 2017年末時点の二輪車新規登録台数は、バンコク首都圏、東北部、北部といった主要市場ではそれぞれ5%、3%、2%とわずかな成長にとどまった一方、南部では13%と顕著な増加を示している。
  • タイ市場で現在最も人気が高いのは小型バイクである。理由はそのコスト効率、エネルギー効率の高さにある。とはいえ、中型・大型バイクも、主にスポーツタイプの人気の高まりと大型バイクに対する輸入関税の緩和(3)により市場シェアを伸ばしている。
  • 運輸省陸上輸送局によると、排気量125cc超の新規登録台数は2012年の4%から2017年には16%と大幅に増加している。

注: (3) JTEPA(日・タイ経済連携協定)に基づく大型バイクの輸入関税は、2013年の60.0%から2016年には5.45%まで引き下げられ、その後2017年11月には撤廃された 

 

  • 排気量250cc超の大型バイク市場は、主要顧客が高所得層であることから、景気後退の影響を受けにくい。
  • 過去数年における景気低迷や国内オートバイの総販売台数の落ち込みにも関わらず、大型バイク市場の規模は4倍に成長し、2012年に6,205台だったが2017年には5万台を超えた。
  • 加えて、大型バイクは、タイのオートバイ市場全体に占める割合においても2012年の0.3%から2017年には2.8%と大きく拡大した。

 

(後編へ続く)

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