中国健康食品業界の見通し/後編

2019.03.12
  • 業界トピックス
  • 中国(Greater China)

本編は前編の続きです。

中国健康食品業界の見通し/前編はこちらから

 

健康食品の市場動向

■健康食品の販売チャネルとチャネルの特徴

リアル市場後退、EC市場はCAGR 57%で利用拡大

  • 健康食品の販売チャネルとして直接販売※は中間の流通プロセスが減り、ランニングコストが節約できるというメリットがあることから、全体の半分近くのシェアを占める。
  • 薬局(ドラッグストア含む)やインターネット販売(EC)が直販に次いでいる。
  • 近年、「淘宝」、「京東」などインターネットモールの急速な発達などで、EC経由での販売が2011年~2016年のCAGR 57%で急拡大している。Alibabaや京東系のECドラック直販店の発達により、今後もEC経由の販路が拡大するだろう。
  • 中国の健康食品チャネルの特徴は下記のようになっている。設定したターゲット顧客との親和性、取引規模、経済合理性などからチャネルの選定が大事。

 

■ECでの販売動向

  • 中国直販EC大手京東発表のデータによると、612日時点までに京東の年中セールスイベントで健康食品類の売上高は前年同期比119%となり、そのうち、雀巢健康科学(Nestle Health Science )と雅培全安素はそれぞれ前年同期比450%260%となっている。
  • 性別から見ると、女性ユーザーの比率は徐々に上昇し、女性関連の美容類、貧血改善、ビタミン補充(葉酸含む)などの商品は急速成長を遂げたとともに、児童向けの営業補充サプリメント類も好調、両方とも2018年のCAGR160%を超えていた。

 

■コンビニ/スーパーでの販売動向

  • 下図のリポビタン(中国名力保健)とウコンの力(中国名:姜黄之力)は日系のコンビニで最も人気の保健食品である。(左下の写真はローソン、右下はファミリーマートで撮影)
  • コンビニで販売している主な保健食品の大半は疲労回復がメイン効能である。次は美容関連である。

 

■健康は今後の主要な消費テーマになる

消費の中心は健康関連へシフト

  • 京東グループ発表のデータによると、2018年の年中セールスイベント期間では京東全球購保健食品の売上高は前年同期の2.2倍となり、有機食品と無糖食品はそれぞれ3倍と1.6倍となった。
  • 興味深いことに、下記健康関連商品の消費層は従来の中高年者層から若年層へ拡大し、1990年代生まれと2000以後生まれの消費者は今後EC販売の保健商品の主要ターゲットになる。

 

■合弁会社およびM&A事例一覧

  • 中国の外資企業に対する規制により外資による単独出資はハードルが高く、国内市場が飽和しているため、多くの企業は中国本土ブランドに注力し、積極的にM&Aと合弁設立事業を行っている。
  • 中国系企業にとって、積極的にM&Aを行う理由が製品ラインナップの拡大、ブランドイメージの向上などが挙げられる。

 

消費者意識調査

■消費者の国内外の保健食品に対するイメージ

  • 中国消費者協会2016年の消費者調査によると、中国消費者は外国産の保健食品により国外のほうが効果が高いと思っている人が41%あり、海外のブランドはかなり信頼されていることが伺える。
  • また、同調査によると、消費者の保健食品の広告を信頼しないと答えた人は62%あり、消費者の広告に対する信頼度はかなり低いことが示されている。

 

■消費者の購買行動

  • BCG2013年 「洞察から行動へ:中国保健食品業界」に関する消費者意識調査によると、85%の消費者が保健食品を購入する際に既に目当ての商品があったということがわかった。
  • 一方、目当ての商品があっても、結局45%の消費者が目当ての商品を買わなかったことから、リアル店舗の場合では薬剤師や専門販売員の重要性が伺える。

 

競合・他社事例

■H&Hグループの概要と沿革

  • 1999年粉ミルクブランドである合生元を創立し、2010年に香港証券取引所に上場。
  • 国内市場の厳しい競争環境を乗り越えるため、2015年から積極的に海外のブランドを買収開始。
  • 2015年にオーストラリアの保健食品ブランドSwisse Wellnessを買収することを通して保健食品業界に進出。
  • H&Hグループの2017年度の売上高80.95億元に対し、Swisse34.14億元で、42%を貢献している。

 

■Swisseの市場動向とマーケティング戦略

  • Swisseの本社は依然としてオーストラリアのメルボルンに設置され、中国市場では海外ブランドとして人気を集めている。
  • SwisseAlibaba系だけではなく、JDVipshopKaolaなどの中国大手ECプラットフォームにも積極的に出店している。

 

  • 中国とオーストラリアの大物人気俳優範冰冰とNicole Kidmanを広告モデルとしてブランド・イメージを向上。
  • 品質を保証するため、ECでの個人代理店が厳しく管理されている。

 

まとめ

■日本企業のビジネスチャンス

  • 中国国内の保健食品はブランドが分散している状態にあり、中国消費者は海外ブランドを選好することもあり、外資系ブランドにとって参入の好機であると見ている。
  • 中国市場に参入する場合、既にブランドを確立しているプレーヤーへ、既存の素材よりも機能性の高い日本の素材を提案し、新製品開発を促す流れが一つのモデルである。
  • 輸出で中国市場に参入する場合、中国の実力のある代理店を選択することが成功の鍵となる。
  • 販売チャネルの面においては、ECチャネルによる参入が有望で、この場合、EC利用者は20歳から45歳が多いため、若年・中年層に訴求できる製品に注力する必要がある。

  

 

 

執筆:上海現地法人 山田商務諮詢(上海)有限公司

         (山田コンサルティンググループ株式会社 中国現地法人)

 

 

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