急成長するアジアのペット市場

2019.03.23
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アジアのペットビジネスは、ペットの飼育数、ヘルスケア需要、個人支出の増加に伴い、2016年から2021年にかけて年平均成長率14.3%のペースでの拡大が予想される。アジア市場における飼育数およびペット一頭あたりの支出は増加を続けている。

アジアはペットビジネスの次なるハブとなるのか。

 

 

ペットのはじまり

ペットの歴史は古く、動物が人間社会の仲間入りをしたのは、数千年前と言われている。太古には飼い主と一緒に埋葬されることもあった。古代ローマ人は、およそ2000年前に小さい愛玩犬をペットとして飼っていた。

 

2016年、世界人口の大多数がペットを飼っている

2016年現在、世界人口の大多数がペットを飼っており、そのうち犬を飼う世帯は、全世帯(平均値)の約3分の1に及ぶ。名実ともに、犬は人類の最良の友である。

しかし、猫も犬に続いて人気が高く、全世帯の約4分の1(23%)で飼われている

 
 

注目すべき分野は?

アジアのペット関連市場は、2017年から2022年にかけて年平均成長率8%での拡大が予想され、今後、活発な需要が見込める数少ないマスマーケティング産業の一つと期待されている。

ペット関連市場急成長の要因を以下に挙げる:

 

■ペットの家族化

近年ペットオーナーは、犬、猫に限らず、小動物さえも家族の一員としてとらえる傾向が高まっている。この市場動向を背景として、様々なペット関連製品やサービスの需要が広がっている。たとえば、ペットフード市場規模は2020年までに107億米ドルに拡大すると見られ、豊富なフレーバー、健康促進に効果が高いプレミアムフードが登場している。

 

■サービス産業の成長

かつてペットは自宅の地下室で飼われていたが、今では飼い主と寝床をシェアするまでにその地位が向上した。ペットが健やかな毎日を送れるように健康に配慮したペット向けサービスが、次々と登場している

たとえば、インドのペット関連市場は2011年の61.2百万米ドルから2015年には133百万米ドルに達する見込みだ。飼育数の増加に伴い、ペットの生活の質の向上に焦点を当てた、よりプレミアムなサービスに対して、オーナーの関心が向けられることだろう

 

■ビジネスチャンス

ペット産業は、都市への急速な人口集中と、アジア地域で増加しているツーリズムの恩恵を受けている

この動向に着目した旅行業界では、ペットと一緒に泊まれるホテルが多く登場。シンガポールの高級ホテル、フォーシーズンホテルは、リーズナブルな料金でペット(体重7kg未満)を連れて滞在できるサービスを始めた

 

健康志向の自然派製品

ペットの寿命や生活の質は、食事、栄養バランス、ケア用品の充実度に左右される。ペットにとっての、豊かで健やかな暮らしを配慮するオーナーの意識が高まっている

たとえば、2007年の中国ペットフード市場規模は15億米ドルと算定されたが、そのうち、27%を自然派ペットフードが占めた。中国のペット飼育率は全世帯数に対して2%から4%と言われており、米国の約65%と比較すると、その潜在的巨大市場への期待が高まる

 

■ペット関連製品のEコマース

近年、ペットフード市場は、オンライン販売が主流となっている。2016年の韓国ペットフード売上高の30%をオンライン販売が占めた。先進国のインターネット普及が全体的に飽和状態に向かう一方で、アジアの新興国で、インターネットの普及が急速に進んでいる。スマートフォンの普及率は世界中で増加傾向にあり、2014年から2015年にかけて、スマホ普及台数は10億を超えた。

 
 
 

アジア太平洋地域における新興市場の台頭

消費者のライフスタイルの変化、中間所得層の購買力の拡大を反映して、ペット飼育率が増加し、ペットビジネスが急拡大、市場規模を押し上げている。

注目すべき新興市場を以下に挙げる:

 

■インド

ペットビジネスの市場規模は、2016年から2021年にかけて、年間成長率17%を超えて伸びるとみられる。2016年時点で、毎年約600,000頭が里親に引き取られており、ペット関連市場が急成長、多くの中小プレイヤーが市場に参入している

 

■中国

中国のペット産業も急成長している。ペットビジネスは2019年までに成長率50%を超え、26億米ドルに成長すると算定された。世界一のペット大国、米国の2015年実質成長率4%を凌駕している

ペット関連市場の内訳は、ペットフード37%、アクセサリー製品26%、医療費24%、その他サービスが12%となっている

 

■日本

ヘルスケア分野の技術の進歩、ペットの栄養バランスに対するオーナーの意識の高まりを背景にペットの平均寿命が伸びている。ペットを飼い始める人が増え、中でも大型ペットが注目されている

2014年のペット関連市場規模は40億米ドル、年平均成長率1.1%の微増傾向にあり、2020年市場規模は43億米ドルと推定される

 

■韓国

ペット関連市場は、2022年までに573百万米ドル規模に成長する見込み。伝統文化として犬食の習慣があるが、近年国際世論の反発が大きく、ペットフレンドリーなスタンスを韓国政府に求める圧力が強まったことから、ペットとして里親に譲る動きが活発になってきた。

流通チャネルとしては、割引率が大きく、多忙な現代人のライフスタイルにマッチすることから、オンライン販売が市場を牽引している。ペットフードのオンライン売上高は2022年に180百万米ドルに達する見込み。

 

 

ペットビジネスが直面する課題

とは言え、アジアのペット産業はまだ発展途上にある。投資家が考慮すべき課題や潜在的な落とし穴は何か?

 

■オンライン小売業者

ペットケア製品とペットフードのいずれも、Eコマースが市場成長を牽引している。2016年の、市場全体に対するペットケア製品の比率は、欧米で8%前半、アジアでは17%後半となり地域間でばらつきが大きい。同年の中国・韓国等の東アジア市場では、キャット&ドッグフードのオンライン販売が市場全体の約3分の1を占めた。潜在的成長は見込めるものの、ペットフード事業者のオンライン販売戦略が追いついていない。

 

■犬食文化

犬食は、欧米諸国に忌避される行為であるが、中国では今も伝統行事の犬肉祭が行われており、毎年15,000頭以上が殺されている - ほとんどが、迷い犬か飼われていた犬である。

2017年4月に、アジアで初めて台湾政府が画期的な決定を下した。犬と猫の肉の消費を禁止し、違反者には最大8,200米ドルの罰金が科せられることになった。

 

 

今後の見通し

ペット飼育率が最も高い地域は南米で、全世帯の80%がペットを飼っている。次に米国の65%、アジア諸国も伸びている。

 

世界でペット飼育率が最も高い地域は南米で、全世帯の80%に及ぶ。次に米国の65%が続くが、アジア諸国の比率も伸びている。近年インドでは毎年約600,000頭が里親に引き取られている。

 

ヘルスケア分野で、健康に配慮したプレミアム製品が注目されていることからも分かるように、アジア市場では、原材料・成分、品質にこだわったペット関連製品への関心が高まっている

韓国では「アイペットミルク」(ラクトースを抜き、代わりにコラーゲン、ビタミン、カリウム、タウリン、ユッカ抽出物を含有したペット用ミルク)が2017年に登場した。アジア市場における、リーズナブルで健康的な製品に対する需要拡大に伴い、プライベートブランド製品の売上が激増している

しかし、アジアのペット市場は、国により市場特性が大きく異なる点を、マーケターは肝に銘じるべきである。日本では、ペットをコンパニオン(伴侶)として飼育する、高齢者オーナーが市場を牽引している

さらに、インドネシア、中国、インド等の新興国では、ペットを飼うことがステータスの証であるという。また、最近起きたフード・スキャンダルを受けて、海外製品を求めるペットオーナーも増えた。したがって、高品質なブランド製品によって、ビジネスシャンスをつかめる可能性がある。

中間所得層が急速に増加している韓国、マレーシア、台湾等では、最新インフラ設備、高学歴人材、高速インターネット環境に支えられ、ペット向けEコマース市場が拡大している

どの業界についても言えることだが、アジアのペットビジネスで成功するには、現地市場の知見獲得、正確な情報収集、独自の戦略立案の力量が問われることになるだろう。

 

 

 

 

文責: Spire Research and Consulting Pte Ltd

   山田コンサルティンググループ株式会社 シンガポール支店

 

 

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