タイの牛乳・乳製品市場/後編

2020.01.09
  • 業界トピックス
  • タイ

本編は前編の続きです。
タイの牛乳・乳製品市場/前編はこちらから。

 

市場の現状とトレンド:ヨーグルト・飲用ヨーグルト

  • ユーロモニターは、2018年に約305億バーツだったヨーグルト・飲用ヨーグルト市場の規模が2019年には313億バーツに達すると予測しており、さらに小売価格の3%上昇と売上量の2%増加も予測している。市場の主要企業はDutch Mill、Yakult、CP-Meijiである。
  • 飲用ヨーグルトは、ヨーグルト市場全体の過半数を占める。飲用ヨーグルトの種類としてはプロバイオティクス*の飲用ヨーグルト(主要企業:Yakult、Betagen)やUHT/低温殺菌の飲用ヨーグルト(主要企業:Dutch Mill:シェア97%)がある。
  • CP-Meijiによると、ヨーグルトの市場規模は、過去数年間は縮小傾向にあり、2015年の47億バーツから2018年には42.6億バーツになった。ヨーグルト市場でトップシェアのブランドは、DutchieのDutch Millで、金額ベースで小売市場全体の70%シェアを占める。

  ※プロバイオティクス=生きて腸まで届く乳酸菌

 

ヨーグルト・飲用ヨーグルト市場のトレンド


ヨーグルト・飲用ヨーグルト市場:
ヨーグルト・飲用ヨーグルト市場の規模は総じて増加傾向にあり2016年の280億バーツから2019年の313億バーツへと11.8%上昇した。これは主に、直接販売の先駆けであるYakultなどのブランドが、モダンおよびトラディショナルの小売形態(直接販売)を通じて顧客の支持を獲得しブランド認知を高めた結果である。ユーロモニターインターナショナルは、同市場規模は全体として今後も成長を維持するものと予測している。 

カップヨーグルトの成長に対する前向きな動き:
ヨーグルト市場が全体として成長を続けている一方、景気が低迷し、消費が減少しているカップヨーグルト市場の規模は過去数年縮小している。タイではヨーグルトはスナック(おやつ)だと考えられているため、消費が少ない。また、ヨーグルトには多くの砂糖が含まれていると思われている。さらにスナック市場には、他にも多数の製品があり消費者の選択肢が多い。こうした状況を受け、ヨーグルトは消費量も市場成長も低迷している。しかし、生産者は依然としてカップヨーグルトの今後の成長を楽観視しており、新製品を発売したり、ヨーグルトの利点をより多くの人に広める活動を行ってカップヨーグルト消費の促進を図っている。

ヨーグルトの成長余地:
CP-Meijiによると、タイではヨーグルトの1人当たりの平均消費量がわずか4リットルと、他の国に比べてはるかに少ない。つまり、まだ成長の余地があると考えられる。

政府の砂糖税:
主要企業は、政府の砂糖税(甘い飲み物に対する税、2019年10月1日に施行)に備え、売上成長の維持を狙って、より健康的な製品によるビジネスチャンスを模索している。

より健康的な製品の例: Betagen Light、Yakult Light、Dutchie life、Delight(低糖)
 

 

市場の現状とトレンド:コンデンスミルク

  • 加糖コンデンスミルクのブランドであるPalaceのメーカーDaily Foods Co.によると、タイの加糖・無糖コンデンスミルクの市場規模は、過去数年間の80〜100億バーツから、2019年には100〜120億バーツ程度に拡大すると予測される。コンデンスミルク全体の市場シェアは、50%のMALIがトップで、これにF&N、Palace 、Foremostが続く。 
  • コンデンスミルク市場は、加糖と無糖に分類される。加糖コンデンスミルク市場でも、MALIは市場をリードしている(2018年のシェア60-70%)。タイで食材としてよく使用される無糖コンデンスミルク市場では、F&NのブランドであるCarnationがトップシェアである。

コンデンスミルク市場のトレンド

 

コンデンスミルク市場の成長見込み:
過去数年間、景気低迷と競争激化によりコンデンスミルク市場は低迷した。しかし、主要企業が健康志向や都市型ライフスタイルに対応するためのさまざまなマーケティング戦略とともに新製品を発売したことで、市場のトレンドは上向きになっている。

コンデンスミルクの需要源:
- ホテル
- レストラン
- コーヒーショップ
- カフェ

ホテル、レストラン、コーヒーショップ、カフェの数が増えているため、コンデンスミルクの需要が高まっている。コンデンスミルクは主に食品、デザート、飲料製品の原料として使用されることから、ほとんどのコンデンスミルク製品は、小売ではなく業務用として販売されている。


 

市場の現状とトレンド:チーズ・バター

  • ユーロモニターの予測では、2016年に17億バーツだったタイのチーズ小売市場規模は2019年には約21億バーツに成長するとされる。企業の市場シェアは上から順にKCG Corp、Mondelez、Fonterraとなる。これら上位3社を併せたシェアは、チーズ市場全体の50%以上を占める。バターの主要ブランドはAllowrie、Orchid、Imperial、Anchorである。 
  • 2018年のNielsenのレポートによると、KCG CorpのブランドAllowrieがタイのチーズ・バター市場全体の中で最大のシェアを占めている。

チーズ・バター市場のトレンド

 

より手頃な価格の製品を重視:
タイのチーズ・バター市場は高価な輸入ブランドが大半を占めている。そのため、外国企業がタイに製造拠点を設立し、より手頃な価格の製品で市場に参入するという機会はまだ残されている。一方で、Premier Daily Foodsなどの国内勢は、より手頃な価格の定番チーズ製品にも注力している。

ベーカリー市場の成長:
タイのパン・ベーカリー市場の成長は、焼き菓子の主要材料であるチーズやバターの需要を左右する。


 

市場の現状とトレンド:乳製品クリーム

  • タイ国立食品研究所(NFI)の推定によると、2016年の乳製品クリームの小売市場規模は2億6,000万バーツであり、乳製品市場全体の中で最も金額が低い。要因は、タイ消費者の間で乳製品クリームには人気がなく、販売先が主に企業だということにある。現在Anchor、Tatua、Magnolia、Foremost、Emborgなど外国のブランドが、タイの乳製品クリーム市場で最も大きいシェアを占めている。 

クリーム市場のトレンド

 

健康志向の高まり:
現在タイでは、健康的なライフスタイルが広まっていることで、乳製品クリームの需要が上向きになっている。乳製品以外のクリームのほとんどは、健康に悪影響を与えるトランス脂肪を含んでいるからである。

コーヒーショップ・ベーカリーの普及:
乳製品クリーム市場は、クリームを素材として、または製品に付加価値を付けるために使用するコーヒーショップやベーカリーの普及により、着実に成長している。


 

主要企業

タイで乳製品を取扱う企業のうち、2018年の売上上位企業は以下の通り。
 


外国投資


まとめ

  • タイの牛乳・乳製品市場の大部分は国内企業が支配している。ただし、特定の製品の市場では大手外国ブランドも存在感を発揮している。
  • 政府が進める牛乳の消費促進のための政策、健康志向の高まり、中間所得層の増加、ベーカリー・コーヒーショップ市場の拡大、一部の製品の国内生産能力不足など多くのポジティブ要因を追い風に、タイの牛乳・乳製品市場は大きく成長している。これにより、全ての製品分野・市場セグメントでビジネスチャンスが生まれている。
  • ASEAN域内最大の生乳生産国であるタイは、ASEANの乳製品市場が巨大な成長市場に発展する前から、製造拠点および初期市場として活用されている。
  • タイ国内およびASEAN域内における牛乳・乳製品の高い市場潜在性が、近年外国投資を惹きつけている。新規市場参入を行う場合は国内パートナーとの提携によって行うことが望ましいと考えられる。タイには多数の乳製品関連の製造・販売業者が存在するため、市場参入の成功のために最も適したパートナーを選定するにあたっては、さまざまなパートナー候補の特性を明確に見定める必要がある。

 

 

執筆:YAMADA Consulting & Spire (Thailand) Co., Ltd.
   YC Capital Co., Ltd.

   (山田コンサルティンググループ株式会社 タイ現地法人)

 

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