中国保育産業への外資参入について

2020.02.04
  • 業界トピックス
  • 中国(Greater China)

 

 日中両国の保育機構の比較

  • 中国の乳幼児の保育・教育制度は、「0歳から3歳までの子どもは、衛生部門が管轄する保育園が保育し、3歳から6歳の子どもは、教育部門が管轄する幼稚園が保育・教育する」と定めている。日本のように、同年齢の子どもが保育園と幼稚園に分かれて通うような情況はみられない。
  • 中国の大都市で、全日制保育園以外、多彩な講義や実技演習を提供する乳幼児教室も流行している。

 

▼ 中国の一般的な保育機関

 

保育園

  • 対象:3歳未満の乳幼児を保育
  • 主管部門:衛生部門(上海のみ教育部門)
  • 区分:保育産業

乳幼児教室

  • 対象:0-6歳の乳幼児へ保育・教育サービスを提供
  • 主管部門:不明確
  • 区分:保育産業

幼稚園

  • 対象:3-6歳の幼児へ教育・保育を提供
  • 主管部門:教育部門
  • 区分:教育産業に区分される場合が多い

 

▼ 日本の一般的な保育機関

 

保育園

  • 対象:0-6歳の乳幼児を保育
  • 主管部門:厚生労働省(認可保育所の場合)
  • 施設の属性:児童福祉施設
  • 特徴:保育

認定こども園

  • 対象:0-6歳の乳幼児を保育
  • 主管部門:内閣府
  • 特徴:就学前の教育・保育を一体として捉え、一貫して提供する仕組み

幼稚園

  • 対象:3-6歳の幼児へ教育を提供
  • 主管部門:文部科学省
  • 施設の属性:教育施設
  • 特徴:幼児教育

 

 中国保育産業の全体像

  • 中国保育産業の主要施設は保育園と乳幼児教室の二種類に分類されるが、近年、乳幼児教室が全日制保育事業を展開する傾向がある。
  • 中国の保育サービスへの需要は高いものの、実際の登園率は極めて低い。

 

 政治:保育業界の参入制限

  • 保育業界に対しては税制優遇制度があるなど、民間企業の参入余地が大きく、外国企業による投資制限も少ない。しかしながら、制度自体が未成熟なため、不透明な部分が多いことが課題である。
  • 「児童服務機構(児童サービス施設)」が外商投資ネガティブリストの「奨励類」に区分されているが、その定義は不明確である。「幼児園(幼稚園)」は就学前教育に所属するため、ネガティブリストの「制限類」に区分されている。

 政治:保育産業に関する政策(一部抜粋)

  • 2016年以降、中国政府は保育産業の発展に注力し、保育問題は「中国共産党十九次全国代表大会」報告書に挙げられた7つの民間課題の最重要課題とされた。
  • 2019年に、国務院により「保育促進に関する指導意見」と中華人民共和国財政部による税制優遇政策が公布され、中国における保育産業に対し国内外の投資から注目されることとなった。

 政治:保育園の基準整理(一部抜粋)

  • 策定された各地域の保育園に関する基準は下記の通りである。国と地方の規定は一致しないため、参入を検討する際に個別の確認が必要。

 市場:保育業界の市場推移

  • 中国における保育業界は発展の初期段階であり、政策支援、需要の高騰により、今後も成長する見込みである。
  • 2018年における保育業界全体の市場規模は905億元であり、2022年までに1,182億元まで拡大すると見込まれる。
  • 2018年における保育にかける年平均単価は3万7,500元(月平均では3,125元)で、この費用は増加傾向にある。
     

 市場:上海保育園の数値統計

  • 2019年7月末時点で上海市内で適法(「依法開展託育服務告知書」を受領済)な保育園数は132施設しかない。
  • これに対して、0~3歳の乳幼児数が約80万人いるとされていること、及び88%の保護者から保育サービスへの利用ニーズがあることから、施設整備不足が深刻化していると考えられる。

 市場:プレーヤーの事例

  • 中国国内においては大手保育園事業者は多くは存在しておらず、各地域に零細業者が分散している状況と推測される。
  • 2019年5月、国務院が保育産業に対する増値税、企業所得税等の税制優遇を発表した後、保育産業への投資ブームが見られるが、産業はまだ発展の初期段階であり、外資の直接投資も多くない。

 社会:保育サービスへの需要が高い

  • 高齢化社会対策として、2015年10月より「全面二人っ子政策」が実施されているが、保育環境や施設の整備が不完全であることも影響し、その効果は薄れている。2018年における中国の出生数は1,523万人にとどまった。
  • 中国では、共働きをしている家庭が多く、保護者の保育サービスへの需要は極めて高い。2019年度の調査によると、88.3%の保護者が保育サービスを利用したいと答えている。

 技術:IT化・デジタル化が進む保育産業

  • 過去数年間、園児への虐待事件が多発したため、保育施設は通信技術の発展を活用し、監視・管理の高度化、安全性向上と信頼回復に注力している。
  • 最近では、教材以外の幼児向けの知育アプリなどを活用し、子供が楽しく安全に保育園に登園することを支援している。
▼ 安全性の向上

【過去】 制度や設備の不備より、過去数年間で下記のような虐待事件が発覚した。

  • 2017年、北京の名門私立幼稚園RYBで園児が針で刺されたり、性的虐待を受けていた
  • 2017年、上海市にある「携程托管親子園」で保育士が園児に暴行していたことが発覚した

【現在】 情報通信技術の進化に従い、多くの保育施設に監視カメラが全面的に設置され、保護者がどこにいてもスマホで子供の行動と安全を確認できる

▼ コンテンツの多様化

【過去】 多くの子供にとって、保育施設に行くのは保護者と離れて生活する最初の経験であり、下記の理由で登園拒否となる場合がよくある

  • 環境の変化に戸惑って不安を感じる
  • 園内の遊び内容が面白くない
  • 自分の意思をうまく表せない     等

【現在】 情報化の促進により、保育専用アプリが登場している。子供が事前に保育施設の環境を確認でき、活動内容も豊富になり、楽しく登園する傾向が見られる

 進出スキーム

  • 中国保育産業への進出スキームは以下のように整理できる。
  • 事業展開の方法は主に「コンサルティングサービスの提供」・「直営」・「フランチャイズ」が想定される。
  • 進出の目的、将来の事業方向性、現地制度、事業パートナーの有無等を勘案の上、 最適な手法を選択することが重要である。

 

 

 

 

執筆:山田コンサルティンググループ株式会社

 

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