[新型コロナウィルス肺炎感染について]
上海の労働に関する特別な取扱い②

2020.02.13
  • 制度トピックス
  • 中国(Greater China)

 

 本稿では、2月2日の第一弾に続き、盈科律師事務所上海オフィスが2月10日までに国及び上海市が公布した通知、関連部門による解釈並びにその他の労働関連法規に基づいて纏めたQ&Aの第二弾をお知らせします。ご一読のうえ、ご参考にして頂ければ幸いです。なお、以下の事項についてもご留意下さい。

 

(1)本稿は、上海市における取扱いに関する取り纏めであり、その他の省(直轄市、自治区)については、所在地の地方法令及び現地行政部門の解釈をご参照下さい。


(2)本稿は、2月10日までに公布された通知及び関連部門による解釈に基づいて作成したものであり、状況の変化又は新通知等の公布により、本稿の内容が関連規定に合致しなくなる可能性があります。


(3)本稿は、あくまでご参考のため作成されたものであり、各企業様において実際にアクションを起こされる前に、関係する行政部門及び弁護士等の専門家にご確認お願い致します。本稿を参考にして起こされたアクションによって貴社に損害をもたらした場合、弊事務所及び当職らは責任を負いかねますので、予めご了承下さい。
 

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[新型コロナウィルス肺炎感染について]上海の労働に関する特別な取扱い①(Q1~Q8)は、こちらからご覧いただけます。

 

 

Q9、上海市において、休業期間は2月9日から再び延長されましたか。実際に2月10日から営業再開できますか。

 

【回答9】公式的に休業期間は延長されていませんが、9日以降でも上海市の多くの工業園区、オフィスビル等において、封鎖が続いたり、従業員の出勤に厳しい制限をかけたりと、事実上営業再開ができない企業が多いと言われております。特に工場の場合、当局による営業開始に関する審査認可を受ける必要があるようです。ただし、2月11日に国家改革発展委員会が開いた記者会見では、その担当者から、「審査認可を要求する等、乱暴な方法で企業の営業再開を妨げることを厳しく制限すべき」との見解が示されています。
 

Q10、2月9日以降、他の地域から上海に戻る者は14日間自宅で隔離される必要があると聞いていますが、具体的にどのような規定がありますか。

 

【回答10】2月3日に上海市公安局が公布した「上海市公安局关于依法严厉打击新型冠状病毒感染肺炎疫情防控期间违法犯罪切实维护社会稳定的通告」によれば、以下①~③に該当する者は、自宅又は指定された場所で14日間隔離されなければなりません。


①    疫病状況重点地域から直接、又は経由して上海市に戻る者
②    上記①の者と濃厚接触をした者
③    新型コロナウィルスによる肺炎感染者、もしくはその疑いのある者と濃厚接触をした者
なお、上海市市民サービスホットラインの担当者の解釈によれば、「疫病状況重点地域」とは湖北省を指しています。

しかし、実際に、上海市の多くの区において、独自の通知を公布しており、湖北省以外の地域から上海市に戻る者についても、原則的に自宅で14日間隔離される必要があるとされています。

 

Q11、2月9日以降の自宅隔離期間において、自宅隔離の従業員の勤務又は賃金支払いについて、どのように対応すべきでしょうか。

 

【回答11】まず、環境上自宅で勤務できる従業員に対して、企業は在宅勤務を要求することができ、その場合通常の賃金を支払えばよいと考えます。一方、物理的に在宅勤務できない従業員に関しては、上海市市民サービスホットラインの担当者によれば、上海市人力资源及び社会保障局が1月27日に公布した「关于应对新型冠状病毒感染肺炎疫情实施支持保障措施的通知」第3条第2項に基づいて、一賃金支払期において(明確に賃金支払期の時期は定められてはいないが、春節休暇後の属する期間、一般的には2月分の賃金給与を指すと思われる)、労働契約で約定された基準に従って賃金を支払わなければならず、一賃金支払期を超過した場合、上海市の最低月間賃金(2,480人民元)を下回らない賃金を支払う必要があります。しかし、人力資源及び社会保障部、全国労働組合総会、中国企業連合会、中国企業家協会、全国工商連合会が2月7日に連名で公布した「关于做好新型冠状病毒感染肺炎疫情防控期间稳定劳动关系支持企业复工复产的意见」(以下「営業再開に関する意見」といいます。)第4条によれば、一賃金支払期において、労働契約で約定された基準に従って賃金を支払わなければならず、一賃金支払期を超過した場合、所在地域の関連規定に基づき生活費(上海市の場合、1,160人民元)を支払う必要があります。

 前述のとおり、一賃金支払期を超過した場合の賃金について、当該二つの規定における基準が異なっていますが、特別な時期に短期間で様々な機関が多くの通知等で規定を公布したため、各規定の整合性を厳密に検討していなかったと思われます。今後も新たな規定が公布されると思われますので、一賃金支払期を超過した場合の賃金支払い基準について、これから公布される新たな規定も確認しながら、その都度上海市の労働部門にご確認下さい。

 

Q12、2月9日以降の隔離期間を年次有給休暇として取扱っても大丈夫でしょうか。


【回答12】営業再開に関する意見第1条では、有給休暇、企業の福利休暇を優先的に使用することについて、物理的に自宅勤務できない従業員との交渉を行う旨が定められており、また、企業の労働組合は、企業と労働者双方の合法的な権益をともに重視しながら、疫病による企業への損失を可能なかぎり減らすよう、従業員に働きかけるものとする旨が定められています。

よって、従業員との交渉が必要ですが、規定上は2月9日以降の隔離期間を年次有給休暇又は企業の福利休暇として消化することが可能です。

 

Q13、疫病によって企業経営に影響が及ぶ場合、企業はどのような措置を取ることができますでしょうか? 

 

【回答13】営業再開に関する意見第5条によれば、疫病の影響で生産経営が困難に陥った企業は、従業員と協議した上で、賃金の調整、勤務交代、勤務時間短縮等の措置をとることができます。
 

 

 

執筆:北京盈科(上海)律師事務所

 

▼本稿内容等に関するお問い合わせ先

山田コンサルティンググループ(株) 事業戦略部 平井 global-support@yamada-cg.co.jp

 

 

▼[新型コロナウイルス肺炎感染について] その他のレポート

・上海の労働に関する特別な取扱い①

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・上海の企業負担軽減の救済措置①

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