タイの不動産建設および不動産開発/前編

2020.02.18
  • 業界トピックス
  • タイ

 

Contents


  • 不動産建設市場:概要
  • 不動産市場:現状と傾向
  • 主要企業
  • 建設事業に関わる主な規制・法令
  • 外国人の不動産所有権に対する規制
  • まとめ

 

レポートデータは本レポート後編の末尾よりダウンロードいただけます。

 

 不動産建設市場:概要

  • 民間の建設プロジェクトは、タイの首都であり主要なビジネスエリアでもあるバンコク首都圏(BMR)に集中している。BMRは、面積ではタイ全土のわずか1.5%に過ぎないが、2018年に全国で発行された建設許可(面積ベース)においてBMR内のものがほぼ半分を占めている。
  • 建物の種類別にみると、民間建設では住宅用が主流となっており、これに商業用と産業用が続く。 
  • 地域や県における建物の種類の特徴は、各地域の事業活動やライフスタイルによって異なる。

 

 不動産建設市場:概要 - BMR

 

バンコク首都圏 (BMR) 

  • BMRの建設許可はほぼ住宅プロジェクトに集中しており、2016年から2018年にかけては建設許可の約68%を占めた。 
  • 低層住宅の建設は、2017年から2018年にかけて、特にバンコク郊外、ノンタブリー、パトゥムターニーで増加した。パープルライン(ノンタブリが終点)とダークレッドライン(パトゥムターニーが終点)という2つの新たな大量公共輸送ルートに沿って進められている多くの住宅プロジェクトの開発が、バンコク北部の都市化に寄与している。
  • 一方、コンドミニアムの建設は減速した。主な要因としては、バンコク郊外の一部で価格があまりにも高騰し、地元住民の需要に合わなくなり、供給過剰になったことがあげられる。
  • 過去数年間にわたって、バンコク地域での複数の複合用途施設の開発が、BMR内の商業施設、オフィスビルやホテルの建設の増加をもたらした。 

 不動産建設市場:概要 - EEC       

   

東部経済回廊(EEC)     

  • チャチューンサオ、チョンブリ、ラヨーンを含むEECは、タイの主要な工業地帯である。従って、産業用建物の建設は他県より多い。特に2015年には、新BOI制度導入前の駆け込み申請によって、建設許可が急増した。 
  • EECで最も多い建物の種類は低層住宅である。 
  • コンドミニアムプロジェクトのほとんどは、特定の地域、特に最も人気が高い観光地の1つであるパタヤに集中している。過去数年にわたり、コンドミニアムに対しては、別荘や投資不動産として購入する外国人の強い需要があった。投資不動産の高い賃貸利回りが大きな魅力であり、国外の開発会社は、パタヤのコンドミニアムとホテルに10年以上投資している。
  • バンコクからチョンブリ、ラヨーンまでの高速鉄道の開発計画が、土地の需要を押し上げ、土地と不動産の販売価格に影響を与えた。一方で、住宅の需要は、景気減速により限定的となったことから、2018年から2019年にかけて、EECの住宅プロジェクトは供給過剰をもたらした。 

 不動産建設市場:概要 -  プーケット       

   

プーケット     

  • プーケットは世界的に有名な観光地であり、長期滞在者や退職者に人気がある。プーケットの高い潜在成長力と最近のインフラ開発計画が、近年、不動産開発会社の投資を呼び込んでいる。 
  • 建設、特に住宅とホテルのプロジェクトは継続的に増加している。 
  • 住宅プロジェクトは、プーケットの不動産市場の中心であり、その中では戸建て住宅が最も好まれている。一方で、地元の需要の高まりを受けて、過去3年間タウンハウスの建設が増加している。
  • プーケット不動産協会によると、地価が上昇した結果、市内では住宅数が10〜20の小規模住宅プロジェクトの開発が増加している。 
  • コンドミニアムやヴィラなどの不動産市場の主な牽引役は外国人購入者であり、中国人、ロシア人、ヨーロッパ人が主流である。 
  • 観光客の増加に対応するための新規ホテルの建設や改装も増えている。また多くのホテルが、投資を志向する購入者向けに、賃貸管理サービスと長期利回り保証を付けた客室やヴィラを販売している。 

 不動産建設市場:概要 – ナコンラチャシマ       

   

ナコンラチャシマ

  • ナコンラチャシマは、面積20,494 ㎢ のタイ最大の県である。
  • 利用できる土地に余裕があるため、民間住宅として建設されるものの中では低層住宅が最も多い。
  • 住宅団地は、主に、不動産購入者である地元住民から信頼のある地元企業が開発を手掛けている。
  • 農業部門は県の主要な事業活動であるため、不動産市場は農業市場と農産物価格の影響を強く受ける。過去数年間にわたる農産物価格の下落により、不動産市場、特に住宅用不動産が低迷した。この状況は2019年4月の新たな住宅ローンの貸付規制の施行以降、さらに悪化している。
     

 不動産建設市場:概要 – チェンマイ     

   

チェンマイ

  • チェンマイは、面積20,110㎢の北部地域で最大、且つ、タイで2番目に大きい県である。 
  • 利用できる土地が豊富なため、地元では依然として戸建て住宅の人気が最も高い。 2016年から2018年にかけて、低層建築物が総建築許可の約74%に達した。住宅プロジェクト開発を手掛ける地元企業がチェンマイの不動産市場を支配している。
  • 北部地域の教育の中心地であり、主要な観光地の1つでもあることに加えて、多くのメガインフラ開発プロジェクトによる成長の可能性が見込めることから、タイ証券取引所に上場しているスパライグループ、ランド&ハウスグループ、プルクサグループ、 サンシリグループなどは、チェンマイでの住宅プロジェクトに継続的に投資している。
  • コンドミニアムの需要は、主に外国人(特に中国人駐在員)やチェンマイ非居住者(仕事・勉強のための別荘、投資先、セカンドハウスを必要としている人)などに限定される。

 不動産市場:現状と傾向    

   

2019年: タイの不動産市場は、多くのマイナス要因により成長が鈍化

  • 景気の低迷と家計債務残高の増加により、全ての住宅用不動産に対する購買力が落ちている。
  • 投機的需要やデフォルトリスクの抑制を目的に住宅ローンの条件が厳格化されたことも、住宅購入者の行動、特に主要な投資不動産であるコンドミニアムの市場に影響を与えている。 
  • コンドミニアム市場では、特にバンコクや主要な観光地であるパタヤ、プーケット、チェンマイなどが進行中の米中貿易紛争や中国の資本規制強化の影響を受けている。 
  • 一方、非住宅用不動産の建設は、外国直接投資と観光客の増加に伴って増えている。

 

2020年: 市場が直面する課題は増えるものの、魅力は維持される見込み

  • 住宅ローン条件の厳格化と家計債務残高の増加は、来年も住宅不動産市場に影響を与えると予想される。 
  • さらに、バーツ高の勢いに衰えがみえないため、2020年にはこれが不動産業界や購買力にマイナスの影響を与え続けるであろう。
  • 2020年に新たに導入される固定資産税は、不動産投資需要の低迷や中古住宅供給の増加による競争激化など、様々な面で不動産市場に影響を与える可能性がある。
  • 予定されているバンコクの新たな大量公共輸送ルートは、不動産開発にかなりの可能性を与えると見られている。 
  • さらに、2037年に向けた都市開発の枠組みとなる新しいバンコク都市計画は、バンコクでの不動産開発に、より多くの機会をもたらすことが期待されている。例えば、道路網の拡大、一部地域でのFAR(容積率)の引き上げ、主要な公共交通機関駅周辺の開発をのサポートに向けた新たな対策の実施などである。 

 

(後編へ続く)

 

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