サステナビリティの取組
経営方針・戦略

サステナビリティ
の取組

サステナビリティに関する考え方及び取組

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、2024年3月末時点において当社グループが判断したものであります。

1.サステナビリティ推進に向けた全体像

当社グループは、顧客企業の様々な課題解決を通じて、顧客企業の持続的成長の実現に寄与するとともに、社会全体の発展・振興に貢献することにより、「存在する意義のある組織」であり続けることを目指しております。2009年に制定した「心と行動の規範(コンプライアンス規程、実践指針)」の中で、当社の持続的成長に向けた基本方針を掲げており、全社に浸透を図るべく努めております。

また取締役会においては、特に人材の確保及び育成、顧客情報管理(情報セキュリティ対策含)、コンプライアンス対応が当社の重要課題であると認識しており、後述する各委員会から定期的に報告する体制を整え、必要な指示・助言を行っています。持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に資するべく、重点的に議論を深めていくとともに、実効性のある監督が機能するよう努めてまいります。

(1)ガバナンス

当社は、当社グループ全体のコンプライアンスに関する統括組織として「グループリスク管理・コンプライアンス委員会」を設置しております。同委員会は、当社グループ全体に関わる具体的なコンプライアンス施策の検討を行います。当社グループにおけるコンプライアンスの推進状況をグループ各社からの報告等により一元的に把握することにより、実施状況のモニタリングを行い、その結果を定期的に取締役会及び執行役員会議に報告しています。なお、同委員会には、オブザーバーとして常勤監査等委員が参加しており、リスク情報を直接把握できる体制としています。

人的資本に関しては、社員一人ひとりが挑戦・探求・自己投資を自発的にできる環境を整えることが、当社の新たな事業・サービスの展開につながるものと考え、2022年4月に人材戦略PT(プロジェクトチーム)を立ち上げ、同PTにおいて取組を推進してまいりましたが、このたび2024年4月から常設の組織として、「人材戦略委員会」を新設いたしました。その責任者には事業部門の常務執行役員を任命し、人事・総務部と連携しながら各種施策の検討やモニタリングを行う体制としています。また、同委員会から、各種施策の内容及び進捗状況について、定期的に取締役会及び執行役員会議に報告しています。

コンプライアンスに関する統括組織

(2)リスク管理

当社は、サステナビリティに関連するリスク及び機会については、グループリスク管理・コンプライアンス委員会において一元的に把握・評価しています。

グループリスク管理・コンプライアンス委員会では、「全社的リスク管理」の枠組みに沿って、リスクごとに、当該リスクが顕在化したときの“影響度”と“発生可能性”を踏まえて「本源リスク」を評価し、現状の統制体制に基づきリスク度を軽減したものを「残存リスク」として、実際の統制状況を総合的に勘案の上、リスクの「最終評価(重要リスクの特定)」を行っております。重要リスクとして特定されたリスクは、リスク管理・コンプライアンスプログラムに反映させて、同委員会で施策の検討及びモニタリングを実施し、取締役会及び執行役員会議において年4回の審議を行い、各部門への指示を通じてリスク事象の発生の回避を図るとともに、発生した場合は適切に対処してまいります。

特に当社において重要課題と考えている人材関連のリスク及び機会については、グループリスク管理・コンプライアンス委員会の下部組織である「労働安全委員会」における個人と組織状態の定量把握・分析に加えて、「人材戦略委員会」において、人材の確保や育成、生産性向上についての状況把握・分析及び施策の実行を行っております。

2.人的資本経営への取組
(人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針)

(1)ガバナンス

上述「1-(1)ガバナンス」に記載のとおり

(2)リスク管理

上述「1-(2)リスク管理」に記載のとおり

(3)戦略

当社が持続的な成長を果たすためには、優秀な人材を確保することが不可欠です。

今後も厳しい採用環境が続くと見込んでおり、従前のように人員の量的拡大の継続は困難であると考えております。したがって、年齢・性別・役職等に関わらず「持続可能な働き方」ができる職場づくりを追求し、長期的なキャリア形成を支援していくことが重要だと考えております。上記を実現するため、以下の人材戦略基本方針を掲げ、社員と会社が一体となって継続的に改革に取り組んでおります。

今後、各種施策の達成状況を確認するための指標とその目標を設定することにより、取締役会における審議のさらなる充実化を図ってまいります。

人材戦略基本方針

「安心して働ける職場」実現のために

「個と組織の持続的成長」実現のため、各人がライフステージに応じて、「家庭」・「仕事」・「自身の成長」のバランスをとって働き続けられる環境を整備する

「チャレンジし続けられる職場
(働きがい)」実現のために

当社社員が当社の文化や価値観に共鳴・共感し、常に高いレベルの業務・新たな業務に挑戦し、長期的に探究・成長できるフィールドを構築する

➀「安心して働ける職場」を実現するための具体的な取組

・生産性向上と総労働時間の削減

限られた時間で、より効率的に働いて、より成果を出すという意識改革の徹底を図り、削減できた時間を自身が成長し続けるための自己投資に充てる取組を全社で推進しています。生産性向上に向けては、生成AIの活用も積極的に取り組んでおります。
フレックスタイム制の全社導入や工数管理ツールの導入、深夜残業時間帯のPCログイン制限など、各人が総労働時間削減に向けて意識を高めるための取組も継続して実施しています。

・メンタルヘルスケアの推進

社員のメンタルヘルス管理の観点から、心身の健康状態を定期的に確認する「パルスサーベイ(月1回)」や、組織状態を定量的に把握する「組織行動心理調査(年2回)」を実施しています。これらの結果を基に、必要に応じて人事部面談等を行うなどメンタルヘルス不調者の早期発見・早期対応に努めております。

・職場環境整備とコミュニケーション機会の創出

個別事情に応じて限られた時間内で効率よく仕事ができるように、リモートワークや時短勤務など様々な働き方が可能な制度を整えております。一方で、在宅勤務中心のメンバーに対して週1日の出社日を設けることで、社内の直接コミュニケーションを通じた新たな気づき・取組が生まれるよう、在宅勤務とオフィス勤務を組み合わせた最適な働き方を推進しています。

➁「チャレンジし続けられる職場(働きがい)」を実現するための具体的な取組

・研修プログラムの充実

当社は、社員の「総合力(課題発見力)」「専門力(課題解決力)」「人間力」の向上を目的として、ビジネス分野だけではなく一般教養まで多岐にわたるテーマを取り上げた研修を多数実施しております。また、管理職全員を対象とした研修として、『バージョンアッププログラム』に継続して取り組んでいます。本研修では、各人が上司と相談の上、個別にテーマを設定し、業務時間(所定労働時間内)のうち年間100時間を自己の能力開発のための時間に充てることとしています。こうした取組が、顧客のあらゆる経営課題への対応、新たな事業・サービスの展開につながり、組織としての持続的成長に資するものと考えております。

・女性社員の活躍

コンサルティング業界は男性社会というイメージが根強くあり、当社においても、長らく男性中心の職場となっておりました。まずは女性の社員数を増やすべく採用を強化し、またフレキシブル勤務や時短勤務等の各種支援制度の導入・拡充を図ったことにより、女性社員比率は23.5%(2016年6月末)から41.6%(2024年3月末)と大きく増加いたしました。
また、女性社員比率が増えたこと、職種・役割に応じた新たなリーダー像の定義などの環境が整ったことから、2025年度末までに女性管理職比率を20%とする目標を設定し、2024年3月末時点においては14.1%となっております(2016年6月末時点:4.2%)。今後も多数の女性管理職を輩出できるよう、引き続き育成強化を図り、またそれぞれのビジネス人生において自己実現ができる環境を構築してまいります。

*比率は当社単体ベース

・専門コンサルタント職の採用・育成強化

当社では、コンサルティング業務のうち、データ分析やリサーチ業務を専門に行うメンバーを中心に「専門コンサルタント職」を設け、その採用・育成に力を入れております。現在、女性の専門コンサル職は168名まで増加し、そのうち14名が専門コンサル職マネージャーとして活躍しています(2024年3月末時点)。専門コンサル職マネージャーの中には、育児中の時短勤務者も含まれており、働き方の区別なく仕事の質でキャリアアップできる環境を実現し、毎年数名ずつ管理職を輩出できる体制が整ってまいりました。
トップコンサルタントのパートナーとなるべく、今後もより多くの専門コンサル職のメンバーが、やりがいのある仕事と家庭の両立ができるよう、その取組を推進していきます。

(4)指標及び目標

上述「2.人的資本経営への取組」に記載した方針に関する指標及び実績は以下のとおりとなっております。定量的な目標設定につきましては、引き続き重要な経営課題であると認識し、早期に対応できるよう取り組んでまいります。
なお、以下の具体的な実績及び目標については、当社単体の数値を記載しております。
当社の各子会社において、各国の文化的背景や状況等を踏まえて、人的資本関係の指標及びその目標を検討し、各種施策を実行しています。引き続き必要な情報収集・分析を進め、当社グループ全体として人的資本経営の重要課題に取り組んでまいります。

指標 目標 2022年度実績 2023年度実績
労働者に占める女性労働者の割合 40.9% 41.6%
管理職に占める女性労働者の割合 2025年度に20.0% 10.4% 14.1%
男性労働者の育児休業等と育児目的休暇の取得割合 76.9% 90.9%
労働者の男女の賃金の差異 50.8% 51.1%
バージョンアッププログラム研修(年間) 97.9時間/人 98.8時間/人
外部講師研修(年間) 30.5時間/人
非管理職残業時間 30.1時間/月 27.9時間/月
平均勤続年数 6.3年 6.8年
勤続年数5年以上 377名 444名

3.TCFDへの取組

気候変動問題への対処は、当社だけではなく、社会全体としてサステナブルな社会の実現に向けて取り組むべき重要課題であると認識しており、カーボンニュートラルへの取組として当社グループ全体(海外子会社を除く)の温室効果ガス排出量を算出し、その結果を開示しております。

当社は、コンサルティング事業を主軸としていることから、その事業の特性上、現在のところ、気候変動問題が当社事業に重大な影響を及ぼすことは想定していないため、TCFDの枠組みに基づく開示は行っておりません。一方、気候変動問題に関して、継続的にリスクの把握・評価・管理に努めております。具体的には、経営企画室を中心とした「気候変動PT」において、各部門・子会社と連携しながら情報収集・調査を実施し、「グループリスク管理・コンプライアンス委員会」に適宜報告、連携を図っています。同委員会で、重要なリスクとして特定・評価された場合は、速やかに取締役会に報告され、意思決定及びモニタリングを受ける体制となっております。

また、当社顧客の持続的成長の実現のため、気候変動問題をはじめとする様々な課題解決に向けたコンサルティングビジネスは当社の収益機会であると捉えております。気候変動にかかるリスク及び収益機会が当社の事業活動や収益等に与える影響について、引き続き必要なデータの収集等を進めてまいります。

指標及び目標

当社グループ全体(海外子会社を除く)の温室効果ガス排出量(SCOPE1・2 及び SCOPE3)は以下のとおりです。現時点において、環境に与える負荷は限定的であると認識していることから削減目標は定めておりませんが、引き続き情報収集・分析を行い、必要に応じて目標設定や削減施策等の検討を進めてまいります。

温室効果ガス排出量

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